クリプトキャッシュ
クリプトキャッシュ
※これは 2019/7に発売された
「クリプトキャッシュ「暗号貨幣」が世界を変える!」著:中村宇利
を夏休みの自由研究として読んだ感想文です。
ビットコインに代表される仮想通貨はブロックチェーン技術により成り立っていますが、既にスケーラビリティなど様々な問題が噴出しており、実社会に利用されるまでにブロックチェーンが崩壊していくことが目に見えている。
ブロックチェーンの問題を解決したサイファー・コア・プラットフォームにすべての仮想通貨を移行させようとする技術がコンプリート・サイファー(完全暗号)であり、ビットコンに変わる通貨がクリプトキャッシュ(暗号貨幣)である。
株式会社エヌ・ティーアイの中村宇利氏により提唱されたクリプトキャッシュとは、一度きりしか使えない英数字等の記号列であり、ブロックチェーンのような台帳に記録も必要ない。
このクリプトキャッシュで利用されるコンプリートサイファー(完全暗号)とはどのようなものでしょうか?
ビットコインで利用している公開鍵暗号方式は、現在では強固なセキュリティを保っているが量子コンピューターの出現により解読されるのは時間の問題とも言われている。
暗号は解読されないためには、鍵交換をするタイミングに悪意の第三者の介入を許さないことが必要だ。
それを可能にさせる技術が量子の特性を利用した「量子鍵配送(QKD)」である。
量子の特定とは「重ね合わせ」と「もつれ合い」である。
・1対の量子は観測されるまで「UP」か「DOWN」の状態かどちらかわからない「重ね合わせ」状態。
※逆に言うと第三者に観測されると状態が変わってしまう。・観測された瞬間に1対の量子双方が状態は「UP」(または「DOWN」)の同じ状態になるという「もつれ合い」状態。
※理論的には、遠くに離れていても1対の量子は双子のように同じ状態で存在できるということである。
この量子の特性を利用した暗号のやり取りを説明してみます
下図のように1対の量子がAさんとBさんの量子交換装置に配置してあるとします。
Aさんが平文をBさんに送る際に量子交換装置から発したワンタイムパスワードを秘密鍵として暗号化させます。
その秘密鍵は、Bさんの量子交換装置に受信するまでは、秘密鍵が定まっておらず、受信した瞬間にAさんとBさんの量子交換装置でその状態が定まります。
量子の特性によりAさんとBさんの秘密鍵の状態が一致するため、復号されて平文を読み解くことが可能になります。
なお悪意の第三者が傍受をしてしまうと量子の状態が変化してしまうため、秘密鍵が不一致になるため受信者Bさんも暗号を解読することができなくなりハッキング被害を防ぐことが出来ます。
しかし、この量子鍵配送(QKD)も量子のゆらぎ問題で実用性に不安定な状態です。
クリプトキャッシュの技術では、この量子鍵配送(QKD)に利用する量子を同じ回路構造を持ったコンピュータープロセッサー(CP)で代用し、且つ、AIにより学習させた同じDNAを持つCPを使用することにより量子鍵配送(QKD)を応用させる完全暗号を実現させたと謳っています。
クリプトキャッシュのプラットフォームは 「イシューサーバ」「コンフォームサーバ」「ウォレット」「デポジットサーバ」「エクスチェンジサーバ」から構成される。
賛同する企業などが出資してプラットフォームを構築し、2019年秋に限定的に稼働される見込みであるという。
※これって分散型サーバーの思想から逆行して単一の中央集権的サーバーじゃねえか?
その代表的な賛同団体がリバティーエコトークン(Liberty EcoToken)であるという。
Liberty Ecosystemとは、個人、地域社会、そして国の自由を保護し拡大することです。Liberty はトークンとインフラストラクチャーを使用して、オープンで分散型の参加型「ニューパワー」システムを構築します。
このリバティーエコトークン(Liberty EcoToken)は、少し前には、Wowooのプラットフォームを利用しCROSSexchengeに上場したと発表したプロジェクトであるだけあり胡散臭さMAXのプロジェクトに思えます。
詳しくは本を購入して読んでみてもらいたいが、クリプトキャッシュの発行方式は、サーバ発行型とウォレット発行型というのがあるらしい。
ウォレット発行型は「シックスペイ」という技術の名前が付けられている。
※最近流行りの「〇〇PAY」にあやかって名付けられたようで草である。
クリプトキャッシュでスマートコントラクトの発行も可能であり、その名前は「スマートキャッシュ」と名付けられています
astamuse(アスタミューゼ)という世界中の課題を解決するアイデアを投稿するプラットフォームに株式会社エヌティーアイが出願した技術が複数ありました。
astamuse.com
投稿はされていたのですが株式会社エヌティーアイが出願した技術は残念ながら
「未査定」状態でした。
参考までに株式会社BitFlyer が出願した技術は特許登録済となっていました・・・。
この違いは何を物語っているのでしょうか?
感想:「クリプトキャッシュ「暗号貨幣」が世界を変える!」は仮想通貨の問題点を指摘し次期技術の利用まで踏み込んでいるため読み物として非常に楽しめました。
記事内には詳しくは紹介しませんでしたが、クリプトキャッシュを実現させる技術「コンプリートサイファー」は量子の特性とAI(人工知能)を取り入れていると説明されていました。
非常に理論的に解説しているのですが量子コンピューター技術とAIというパワーワードに騙されてすべてを真に受けてしまう人もいると思われます。
本書の第2章はハッキング被害やブロックチェーンが抱える問題を不安を煽るようにここぞとばかりに書かれた後に、クリプトキャッシュが全てを解決するような書きぶりが新たな鴨や養分が誕生する気がして非常に危惧しております。
最後に・・・
量子論に「シュレーディンガーのPEPE(※)」という有名な比喩があります。
毒ガスが蔓延する箱の中にいるPEPEは、人間が箱を開けて観測するまで「生きている」か「死んでいる」の確率は50%である。
胡散臭いような案件だと思っても、一般の世の中に浸透していくまでは真っ当なプロジェクトなのか?胡散臭い詐欺プロジェクトなのかは50%の確率である!
果たしてクリプトキャッシュはどちらなのでしょうか?ww
※上図の「シュレーディンガーのPEPE」とは「シュレーディンガーの猫」をパロディとしたレアぺぺカードです