蜂の寓話 と 仮想通貨
「ブンブンうなる蜂の巣~悪者が正直者になる話」
と題された400行ほどの詩が1705年に作者匿名で発表された。
当初は全く話題にも上がらず、1714年に「序文」「美徳の起源についての考察」「注釈」を加えて出版したが、それでも話題にならず・・・。
1723年に「注釈」を加えて再出版すると、大衆で読まれるようになり、当時のイギリス大陪審が告発し、現代の言葉にすると世間で大炎上を巻き起こすことになる。
「蜂の寓話」の作者はバーナード・マンデヴィルという人物でアダム・スミスやマルクスと並ぶ18世紀の思想家として知られている。(マルクスなどに比べて知名度は低いですが。)
なぜ大炎上をしたのかをこれから説明します。
「ブンブンうなる蜂の巣~悪者が正直者になる話」とはどのような詩か?
人間と同じような社会を持つ蜂の巣の物語・・・。
人間の世界と同じように国王が居て、聖職者や弁護士がいて、軍人がいて様々な職業の庶民が安楽に暮らしていた。その中から「まっすぐ働くことをひどくきらい、ひとがよくてうかつな隣人の労働を自分たちのために役立たせようとしこうかつに細工をほどこす手合いども」が現れた。
そのうち聖職者たちも役人たちも「役得」を「収得」と言葉をすり替えて利得を得ることにやっきとなってきた。
やがて「石を肥料と偽って売る者」「バターと偽り塩を売る者」・・・・悪徳は巧妙さをはぐくみ、誰もが少なからず欺瞞をしているので判別できない世の中になってきた。
そして「おかげで貧乏人の生活でさえ、以前の金持ちよりよくなって」来たのである。
ある時誰かが「詐欺はダメだ」と叫んだ!
神も「わめく蜂の巣から欺瞞を一掃する」と怒り出すとたちまち欺瞞は失せて、今まで大きい詐欺から小さい詐欺をしていた者たちも良心の呵責に耐えられなくなったのか自分だけ助かりたいため「詐欺はダメだ」と叫び出した。
すると今まで価値がなかったにも関わらず高価な値段が付いていた物の値段が下落した。
「偽善の仮面は剥がれ落ち、偉大な政治家は道化師になった」
繁栄していた蜂の巣から大半の住民がいなくなり、僅かに誇りを持った戦士の蜂のみが住むだけとなってきた。
残った僅かな数の蜂の巣の戦士たちは、別の蜂の大軍から攻撃を受けるが、見事撃退を果たし名誉と称賛は得たのであった・・・。
しかし過疎ってしまった蜂の巣の繁栄は望めないのである・・。
かなり意訳をしてしまいましたが「ブンブンうなる蜂の巣」の概要です。
作者が言いたいことはつまり
「不正はやめろ!」とみんなが公平で正直者だけが集まる蜂の巣を作るべきだと主張するのは馬鹿者が夢見るユートピアである。
美徳だけでは、世の中を豊かに出来ず、欲望や悪徳などの不協和音も含めて豊かな世の中のハーモニーとなっていくのである。というものである。
マンデヴィルは「性悪説」として世の中を皮肉っただけで本当の悪事を賛美したのではないのですが、
この利己主義的な主張が18世紀のヨーロッパ社会では嫌悪されて大炎上をしてしまいました。
その数年後「続・蜂の寓話」を発表して弁明しますが炎上は収まらず、20世紀になってやっとこの書が評価されるようになったようです。
長くなりましたが、仮想通貨界隈は、この「蜂の寓話」の蜂たちと同じ末路を辿っているようでなりません。
仮想通貨バブルであった2017年・・・・
次々と価値のない電子屑をICOやプレセールと言って販売し、それを紹介してバックマージンを得ていた煽り屋達が増殖していました。
主要アルトコインで一攫千金を果たして売り逃げした人も多い中、次なる金の生る木とばかりに二番煎じの仮想通貨で少額の利益を得た人たちが増えてきました。
2018年以降からは「ビットコインって200万円も価値ないんじゃね?」と思い出す人が増え出し下落の一途を辿ります。
そして2019年・・・・。
2017年にはカリスマとして崇められていた人たちが逮捕されたり、ゴシップネタになったりと、まさに道化師のように物笑いの対象となって炎上しました。
こんな仮想通貨界隈ですから、技術屋目線の仮想通貨クラスタたちがどんな素晴らしいプロダクトを開発しようとも世間一般からは「仮想通貨=怪しい・詐欺」のイメージが拭えずに廃れてしまう気がしてならないのです・・・。
流行りの最新技術ワードを使っただけの冷静になればわかるような嘘情報に飛びついて詐欺コインを煽ってしまったアホインフルエンサーが蔓延ったのでこの末路になっているのではないでしょうかね。
また煽りアカウントを非難するアカウントを「正義を拗らせている」と呼ばれることがありますが「正義を拗らせすぎた」結果、仮想通貨全体のマネーを流動にも陰りを起こしてしまったこともある意味皮肉なものです。
やはり人間というもの、儲けに繋がるものがないと参入したいと思わないので
「儲け=悪徳」と決めつけてしまうのもやり過ぎなので多少は目を瞑る必要もあるのかもしれません。
「煽り屋」アカウントも「正義を拗らせる」アカウントもほどほどに調和して一つのハーモニーとして仮想通貨を盛り上げていくことが出来ていれば2020年に仮想通貨クラスタ全員が「おかげで貧乏人の生活でさえ、以前の金持ちよりよくなって」という近未来図が見えてきたかもしれません・・・・。
「蜂の寓話」の作者:マンデヴィルが言いたかったことは、ひょっとしてそういうことだったのではないのかな?
と相変わらずまとまりのない文章を書いてしまいました。
どうもすみませんでした。
(終わり)